それって二人目不妊かも。二人目不妊になる原因と治療のポイント

2019.8.29

診察

一人目は自然妊娠で授かったのに、二人目をなかなか妊娠できないという「二人目不妊」が増えています。「一人目は妊娠できたのだから」とのんびり待っているうちに年齢が上がると、その分妊娠はしづらくなります。ここでは、二人目不妊の原因や問題点を解説します。

二人目不妊とは

二人目不妊は医学的には「続発不妊」といい、避妊することなく通常の夫婦生活を続けているにもかかわらず、過去に妊娠・分娩した経験のある女性がその後妊娠しないという状態を指します。一方、一度も妊娠の経験のない不妊は「原発不妊」といいます。

通常、不妊とは性生活を行っても1年以上妊娠しない状態と定義されていますが、二人目不妊については、どのくらいの期間妊娠しなければそのように呼ぶのか、はっきり定義されていません。例えば、「タイミング法を行っても半年くらい妊娠できなければ、二人目不妊と捉え、不妊治療を始めた方がよい」という医師も少なくありません。これは、一人目の時と比べて二人目では自然妊娠のための条件が不利になっているので、1年間も様子を見るべきではないという考えによります。

二人目不妊の原因

卵巣の機能や卵子の質の低下

一般的に、妊娠率は30代後半から大きく下がります。その理由は、加齢によって卵巣の機能や卵子の質が低下するからです。卵子は特殊な細胞で、生まれる前に作られたものが卵巣に保存されているだけで、その後新たに作られることはありません。したがって、年齢を重ねるとともに卵子も老化し、だんだん消滅して数も少なくなっていきます。一度劣化した卵子の質が改善することはありませんし、年齢が高くなると受精卵の染色体異常が増えて流産の確率も高くなります。

晩婚化が進み、初産年齢が上昇している現在、二人目を産む年齢はより高くなります。一人目の時よりも妊娠しにくくなるのは当然だと考えるのが自然でしょう。

育児に追われることでセックスレスに陥ることも

第一子の子育てに手がかかることも、二人目不妊の原因の一つです。育児の忙しさや疲れのせいで性交渉を持つ気になれず、妊娠のチャンスが減ってしまうからです。

そうでなくても一人目の時のような新婚当初とは違い、結婚して数年ともなれば、性交回数は減る傾向にあります。夫婦とも年を取り、性的欲求が弱くなっているということもあるでしょう。そうした中で排卵日を狙って性交渉をすることが男性側のプレッシャーになり、心因性の勃起不全(ED)となる例もあります。

男性の不妊原因の可能性

精子は卵子と異なり、何歳になっても精巣で新しく作られています。とはいえ、加齢やストレスによって精子の数が減少したり、精子の質が低下したりして不妊の原因となるケースも考えられます。一人目を妊娠した時から数年が経っていれば、精子濃度や精子運動率が大きく低下している可能性もあります。二人目不妊を疑ったら、「一度妊娠したから精子には問題がないはず」などと決めつけず、男性不妊の可能性も考慮し、精液検査を受けることをおすすめします。

婦人科系疾患の影響

不妊と関連の深い婦人科系の病気に、子宮筋腫や子宮内膜症があります。どちらも20〜30代で発症しやすく、加齢に伴って閉経時まで進行していく病気です。一人目妊娠時には発症していたものの病気の影響が少なかった、あるいは一人目妊娠の後で発症したなど、これらの病気が二人目不妊の原因となっている可能性も考えられます。

そのほかに、第一子出産時の出血トラブルや、出産後にクラミジアなどの菌による感染症を起こしたことが原因で二人目不妊となることもあります。

二人目不妊の治療のポイント

以上のように、自然妊娠の経験がある夫婦でも、二人目不妊になる可能性は低いとはいえません。二人目がなかなか妊娠できないと感じたら、早めに不妊治療に取り組む方がいいでしょう。

二人目不妊の場合の検査や治療は、一人目の時と同じです。ただし、二人目不妊ならではの問題もあります。それは、子育てをしながら通院しなければいけないということです。子どもを連れて受診できる不妊治療専門クリニックは、あまり多くありません。子どもを連れていけるクリニックを探すか、施設内に託児所が備わっているクリニックを選ぶことが、治療を続けるための重要なポイントになります。

また、一度妊娠できたという経験があるからか、漫然とタイミング法を続けたり、何回も人工授精を続けたりしがちなのも二人目不妊の特徴です。前述のように、年を取ればそれだけ妊娠の可能性は低くなります。何歳までに二人目が欲しいのかをよく考え、いつまでも一般不妊治療にこだわらず、体外受精などの生殖補助医療にステップアップする決断も大切です。

いずれにしても、二人目不妊で重要なのは早期に治療を始めること。二人目がなかなかできない、二人目不妊かもと思った場合は、一度不妊治療専門クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

(文/メディカルトリビューン編集部)