不妊検査のフーナーテストって?

2019.7.11

治療方法

不妊検査の一つに、フーナーテストがあります。ヒューナーテスト、性交後試験、精子頸管粘液適合試験とも呼ばれる検査で、入院せずに受けることができます。検査時の痛みもありませんが、カップル両方の協力が必要になります。ここでは、フーナーテストとは実際にどのような検査なのかをご紹介します。

フーナーテストで何がわかるの?

女性は排卵日に近くなると、膣と子宮を結ぶ子宮頸管の粘液が増えてきます。透明なおりものが増えたことで、排卵日が近いと気づくことがあるかもしれません。この粘液は、受精に向けて精子が子宮へ進入するのを助けたり、細菌が子宮に侵入するのを防ぐ役割があります。

排卵日近く、あるいは排卵日に性交を行い、射精された精子が膣内に入ると、精子は子宮頸管粘液の中を泳ぎ子宮へ向かって進みます。子宮にたどり着くことができた精子は卵管に入り、卵巣から放出された卵子と出会います。

フーナーテストは、性交から数時間後の子宮頸管粘液を採取し、その中の精子の数や活動状態を調べる検査です。性交から検査までの時間に関しては、3〜24時間以内と施設によって幅があります。

検査では、粘液を400倍の顕微鏡で観察します。頸管粘液中に1個でも直進運動精子が確認できれば頸管が原因の不妊ではないと考えられ、非直進運動精子、不動精子、振動している精子が確認できる場合は頸管粘液もしくは精子に抗精子抗体が存在する可能性が疑われます。ただし、精子の数や状態に関する判定基準は医療機関によって異なります。

医療機関により対応はそれぞれ

フーナーテストは、日本産科婦人科学会の『産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2017』で不妊症の一次スクリーニング検査として推奨され、広く行われています。しかし、統一された検査方法や判定基準がなく、新しい検査も可能になったので、欧米ではあまり行われていません。

その理由は、性交から検査までの時間やそのときの体調などによって、精子の数や状態、頸管粘液の状態は変動し、検査結果が変わりやすいからです。1回目の検査結果が悪くても、次の検査で良い結果となることも少なくありません。また、検査前日の夜もしくは当日の朝に性交を行わなければならないことが、カップルにとって大きなストレスになるとの指摘もあります。

こうした点から、医療機関あるいは医師によってフーナーテストの検査方法や判定基準、さらに実施するかしないかまで、対応は異なっているのが現状です。

排卵日を予測し計画的に行うことが必要

次に、一般に行われているフーナーテストの方法をご紹介します。フーナーテストは、排卵日前から排卵日に性交をする必要があるため、計画的に行われます。医師により、事前に測定した基礎体温や超音波検査、エストロゲン値などから排卵日が予測されます。

排卵日前の指示された期間は禁欲し、排卵日近くまたは排卵日に性交を行います。性交後、決められた時間内に医療機関を受診します。

膣から器具を用いて頸管粘液が採取され、顕微鏡で粘液中の運動精子の有無や数などが調べられます。ただ繰り返しとなりますが、どのくらいの数や状態が確認できれば良いかなどの判定基準は、医療機関によって異なります。

フーナーテストは治療方針を決めるきっかけに

「制約が多い上に判定基準も曖昧なら、検査を受ける必要はないんじゃないの?」と思われるかもしれませんね。

しかし、もし粘液中に運動する精子が認められなかった場合、「抗精子抗体」と呼ばれる精子の運動機能を障害する抗体を持っている可能性や、頸管に炎症がある可能性、無精子症の可能性などを考慮することができます。不妊の原因が分かれば、それに応じた治療方針を立てることができるのです。

フーナーテストは、不妊症の原因を調べる大切な検査の一つです。疑問や分からないことがあれば、専門の医師に相談してみましょう。

(文/メディカルトリビューン編集部)