葉酸?鉄分?亜鉛? いったい何が効くの? さまざまな妊活サプリ

2019.5.14

様々なサプリメント妊娠しやすい体づくりのために、食事だけでは十分に補えない栄養素をサプリメントで摂取するのも良いでしょう。もちろん、サプリメントを飲んで必ず妊娠できるといった保証はなく、摂取の仕方によっては体調に悪影響を及ぼす可能性もあります。ここでは、妊活でサプリメントを適切に活用するための情報を紹介します。

そもそもサプリメントって何?

サプリメントは、健康食品の一種です。健康食品にはカプセルや錠剤など、医薬品と同じような形状をしているものもありますが、医薬品とは異なり、病気の治療や予防を目的として用いるものではありません。健康食品とは、広く健康の保持増進のための食品として販売・利用されるもので、「保健機能食品」と「その他の健康食品」に分かれます。

【健康食品の分類】

健康食品の分類

出典:消費者庁ウェブサイト https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/health_food/

「保健機能食品」には、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品の3種類があります。これらは、特定の保健機能や栄養機能を表示することが認められています。

一方、「その他の健康食品」には、サプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、自然食品などがあり、保健機能食品のように機能を表示することができません。ただし、サプリメントの中で、栄養機能食品の規格基準を満たす成分が含まれている製品では、「栄養機能食品」との表示が可能です。

どの健康食品を利用しようか検討する際には、「保健機能食品」のように国や事業者による安全性・機能性の裏付けがあるかどうかが一つの目安となります。現時点で、特定保健用食品と機能性表示食品には、不妊リスクを下げる効果の表示が認められた製品はありませんが、栄養機能食品と表示されている健康食品の中には、不妊リスクを低減する可能性のある栄養素が含まれているものもあります。

【栄養機能食品として機能表示ができる栄養成分】

ミネラル類 亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム
ビタミン類 ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸
脂肪酸 n-3系脂肪酸

不妊リスクを低減する可能性のある栄養成分

では、サプリメントに含まれるどのような栄養素が、不妊リスクの低減に効果的なのでしょうか。

葉酸

葉酸は、細胞分裂時のDNA合成に使用され、無脳症や二分脊椎などの胎児神経管閉鎖障害の発症を予防することが知られています。2000年には当時の厚生省により、妊娠の可能性がある女性では、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、1日0.4ミリグラムの葉酸サプリメント摂取が推奨されました。

鉄分

受精卵や胚における細胞分裂時に必要とされる栄養素が、鉄分です。赤血球を構成して全身に酸素を運んだり、受精卵が着床しやすいよう子宮環境を整えるといった役割も果たします。鉄分のサプリメントを飲んでいる女性は、飲んでいない女性に比べ、排卵障害による不妊症のリスクが40%も低いことが知られています。

亜鉛

亜鉛が欠乏すると、男性の性腺で発達障害や機能不全が生じたり、男性ホルモンの合成・分泌が低下することが知られています。他にも亜鉛は女性ホルモンの生成に必要とされ、低出生体重児において母乳の亜鉛が不足すると、皮膚炎、脱毛、食欲低下などの亜鉛欠乏症になる可能性があります。

オメガ3脂肪酸

多価脂肪酸のうち、魚類、クルミ、亜麻仁油に多く含まれるオメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)は、男女ともに生殖能力を高めるという効果が報告されています。また、悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やすことで、子宮や卵巣の血流が改善されます。

ビタミンD

ビタミンDも、精子の運動率を高めたり、妊娠の成立に重要とされています。日光を浴びると皮膚のコレステロールからビタミンDが作られ、カルシウムとリンの吸収を促進して丈夫な骨を作ります。ただし、日焼け止めによりビタミンD不足になる可能性がありますので、サプリメントで補うのが良いでしょう。

サプリメントを使用するときの注意

ただし、自己判断で特定の成分を取り過ぎたり、いくつものサプリメントを同時に摂取することはお勧めできません。複数の健康食品に含まれる成分同士の影響関係について、まだ十分に解明されていないためです。ですから、万が一にも体調不良を起こした場合、その原因を明らかにして対処することが難しくなる可能性があります。

また、サプリメントと医薬品との飲み合わせによっては、医薬品が効きにくくなったり、副作用が出やすくなる可能性もあります。医薬品による治療を受けていたり、これから不妊検査や不妊治療を受ける予定の方は、サプリメントを摂取する前に、医師や薬剤師などの専門家に相談するようにしてください。

妊娠しやすい体づくりのためには、何よりもまず、栄養バランスのとれた食事と適度な運動、十分な休養が大切です。その上で専門家のアドバイスを踏まえながら、上手にサプリメントを活用してみるのも良いでしょう。

(文/メディカルトリビューン編集部)