妊娠の可能性を高める女性のライフスタイル(睡眠・食事・運動)

2019.4.19

女性のライフスタイル妊娠はさまざまなメカニズムの組み合わせで成り立っているため、「これをすれば妊娠できる!」という確実な方法があるわけではありません。ただし、ホルモンバランスの乱れは月経不順や無排卵、黄体機能不全など、不妊につながる病態の原因になるため、妊活に臨むにあたっては女性ホルモンの分泌を適切に整えることが大前提です。では、ホルモンバランスが乱れないようにするには、具体的にどのような日常生活を送ればよいのでしょうか。

女性のホルモンバランスと日常生活

女性のホルモンバランスが乱れる原因として、「加齢」「ストレス」「不摂生な生活」が挙げられます。そのうち「ストレス」と「不摂生な生活」は、普段から「睡眠」「食事」「運動」の3つに気をつけることで、改善することができます。

睡眠を改善することでホルモンバランスが整います

睡眠不足は自律神経の乱れの原因となり、女性ホルモンの分泌に悪影響を及ぼします。必要な睡眠時間には個人差があり、仕事や家庭の事情などで左右されるかもしれませんが、少なくとも7〜8時間くらいは確保するようにしましょう。また、夜は12時までに就寝して朝は決まった時間に起きるようにすると、体内時計が整えられます。

睡眠では時間だけでなく「質」を高めることも重要です。人間は就寝時に「レム睡眠」という浅い眠りと「ノンレム睡眠」という深い眠りを繰り返していますが、心と身体の十分な休息にはノンレム睡眠が大きな役割を果たしています。特に、就寝直後のノンレム睡眠は疲労回復やストレス解消に影響が大きいため、就寝前にぬるめのお風呂に入ったりストレッチを行うといった工夫が効果的です。就寝直前の食事やアルコール、カフェインの摂取、熱いお風呂や激しい運動、スマホやパソコンの操作などは、質の良い睡眠の妨げとなりますので控えてください。

バランスのよい食事で適正体重を維持しましょう

次に、食事については何を心がけるべきでしょうか。栄養の偏った食事は女性ホルモンに悪影響を及ぼすため、タンパク質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素をバランスよく、朝、昼、晩の3食を規則正しく摂ることが大切です。ただし、現代人のエネルギー摂取は炭水化物に偏っていてタンパク質が不足しがちですから、お米やパン、パスタは少し控えて、肉や魚、卵を意識して食べるようにしましょう。また、植物性タンパク質の代表である大豆には女性ホルモンのエストロゲンと似た働きがある「イソフラボン」が含まれているため、豆腐や納豆、味噌などを積極的に食べるようにしましょう。

もちろん、食べ過ぎや過度のダイエットはホルモンバランスを崩すので禁物です。最近は、特に若い方で行き過ぎたダイエットにより女性ホルモンの分泌が不調となり、月経不順や無排卵となるケースをよく耳にします。食事は栄養と量の両方に気を配り、適正体重を維持するようにしてください。

ウォーキングなど軽い運動がオススメです

軽い運動を行って血行と代謝を改善することは女性ホルモンにも良い影響を与えます。一定のリズムでの運動刺激はストレス改善に関係する脳内の神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促すため、ウォーキングや軽いジョギングがオススメです。日光はセロトニンの合成を活性化すると言われており、屋外で行えばさらに効果が期待できます。季節の風景や木漏れ日を楽しみながら、週に2〜3回、30分程度の運動を行ってみてはいかがでしょうか。

逆に、過度な運動は女性ホルモンの減少を招き「運動性無月経」の原因となりますので、注意が必要です。ヨガやストレッチなら、ゆっくりとした動作や深い呼吸により緊張がほぐれ、体を温めて活性化させるため、ウォーキングやジョギングにこれらの運動を組み合わせると効果的です。デスクワークでイスに座りきりの方は運動不足になりがちですので、1時間に1度は席を外してストレッチするなど、日々の生活の中に軽い運動を取り入れてみましょう。

このように、日常生活における「睡眠」「食事」「運動」といった当たり前のことを適切に行い、毎日を健やかに過ごすことが妊娠への近道になります。また、女性だけでなくパートナーと一緒に取り組むことで、お互いの生活リズムが整って、無理なく続けられるモチベーションにつながるかもしれませんね。

(文/メディカルトリビューン編集部)