不妊かどうか、まずはセルフチェックから

2020.1.28

チェックボックス

「結婚してしばらく経つけど妊娠しないのはどうして?」「まだ赤ちゃんは先でもいいけど、ほしいと思った時に赤ちゃんができるか心配」。そんなときは、医療機関でしっかりと検査をしてもらうことが大切です。ただ、いきなり婦人科や不妊治療のクリニックを受診するのには抵抗があるという人は少なくないはず。そこでおすすめしたいのが不妊のセルフチェック。ここでは、自身の不妊の可能性を調べるセルフチェックについて説明します。

基礎体温をつけて排卵の有無を確認

自分で妊娠力をチェックする最も基本的な方法は、基礎体温を付けて排卵の有無を推測することです。基礎体温は目が覚めたらすぐ起き上がる前に婦人体温計で測定します。

基礎体温は通常、体温が低い時期(低温期)と体温が高い時期(高温期)の二相に分かれ、低温期から高温期に移るときに排卵が起こります。妊娠するためにはこの時期に性行為をもつことが必要です。しかし、何らかの理由で排卵がない場合もあります。基礎体温表が低温相と高温相に分かれていない、あるいは分かれていてもどちらかの相が長かったり短かったりする場合には、無排卵やホルモン異常などの可能性もあるため、医療機関を受診して検査を受ける必要があります。

毎朝基礎体温を測って記録するのは大変かもしれませんが、最近はスマートフォンやパソコンに測定値を転送して記録できる便利な婦人体温計も販売されています。それらを活用しながら、無理のない範囲で続けてみましょう。

不妊リスクチェックで当てはまるものを確認

不妊をもたらす原因はさまざま。以下は、その代表的なものです。もし当てはまるもの、気がかりなことがあればできるだけ早めに婦人科や不妊治療専門のクリニックを受診しましょう。

【1】35歳以上:年齢が高くなるほど妊娠率は低下します。もし35歳以上で妊娠を望んでいるなら、特に気になる問題はなくても一度、医療機関を受診して不妊の検査を受けてみましょう。

【2】生理痛がひどい:年齢を重ねるごとに痛みが増していたり、急に痛みがひどくなったりした場合には、子宮内膜症や子宮筋腫などの恐れもあるため、婦人科を受診しましょう。

【3】経血の量が多過ぎる、または少な過ぎる:経血の量が多かったり、月経の期間が長い場合は、子宮筋腫や子宮内膜症の可能性も考えられます。反対に量が少なかったり期間が短い場合には、女性ホルモンの分泌量が少なく子宮内膜が厚くならない、あるいは子宮の発育不全などが考えられます。

【4】月経周期が安定していない:ホルモンの分泌異常や無排卵の可能性があります。

【5】不正出血がある:子宮筋腫や子宮内膜症、性感染症、卵巣機能不全などが隠れていることもあります。念のため婦人科を受診しましょう。

【6】クラミジア感染症や淋病、梅毒などの性感染症にかかったことがある:適切な治療を受けていないと、組織の癒着などが残り、卵管が詰まってしまう恐れもあります。

【7】おりものに異変がある:おりものは通常、無色透明でさらっとしています。しかし、いつもより量が多かったり、色が黄色っぽい、臭うなどの異変があるなら性感染症の可能性も。性感染症は知らないうちに感染するため、いつもと違うと感じたら受診しましょう。

【8】性交痛がある:子宮内膜症や子宮筋腫の疑いがあります。

【9】体格指数(BMI)が26以上の肥満または17以下のやせ型:ホルモンバランスが崩れている可能性があります。

質問に答えるだけで受診の必要性が分かる、セルフチェックのサイト

女性の健康支援を目的に厚生労働省の研究班が作成した健康情報サイト「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」には、9項目の質問に答える形式の「不妊症チェック」が掲載されています。「避妊をせずに、月に数回以上のセックスをしているが、半年くらい妊娠しない」「性交痛がある」などの質問に「はい」「いいえ」で回答すると、受診の必要性などのアドバイスが表示され簡単にチェックすることができます。参考:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ

男性向けのセルフチェックキット

不妊の原因のおよそ半分は男性にあると考えられています。そのため、精子の検査も重要です。妊娠するには精液中の精子の数や濃度、運動率、質が重要ですが、このうち精子の数や濃度、運動率をスマホによって自宅でチェックできるキットも販売されています。

病院で検査をしてもらうのが最も正確ですが、仕事などで忙しかったり病院での検査に抵抗がある場合には、まず自宅でセルフチェックキットを利用してみるのも良いでしょう。

セルフチェックで「異常なし」でも病院で検査を受けるのが大切

妊活は、始めたらすぐに成果が出るとは限りません。実際、妊活が何年もかかってしまうカップルは少なくありません。一方で、男女ともに加齢に伴い生殖能力が衰えるため、時間の経過とともに妊娠率は低下します。そのため、できるだけ早い段階でセルフチェックを行い、気になることがあればすぐに医療機関で検査を受けることが大切です。

また、セルフチェックでは異常がなくても本格的に不妊治療を始めるなら、やはり医療機関で検査を受けるのが確実です。セルフチェックはあくまでも自分の状態を知るためのファーストステップとして行いましょう。

(文/メディカルトリビューン編集部)